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維新志士たちの嫉妬



2010年のNHKの大河ドラマは「龍馬伝」である。

元々坂本龍馬は幕末に登場するメンバーの中でも最も人気のある人物の1人である。

しかし、あの時代はそれぞれが各々の役割を演じていたので、欠けてはいけない自分は他にもたくさんいる。

西郷隆盛、桂小五郎、久坂玄瑞、伊藤俊輔、板垣退助、山県有朋、近藤勇、土方歳三、勝海舟、佐久間象山、ジョン万次郎、パークス、アーネストサトウなど推挙に暇はない。無名の英雄たちもたくさにいる。

それにも関らず、坂本龍馬の人気がこれほどまでに高いのはどういう理由だろう。




フランスの皇帝ナポレオン同様、彼が英雄であるから、といってしまえばそれまでかもしれない。しかし彼を英雄たらしめたのは、一体どういった因子なのだろうか。

彼の最大の功績は、薩長同盟と大政奉還である。あの時代、維新の革命に参加した藩の数は、三百諸侯の内ごくわずかであったが、維新を起こすための役者は十分にそろっていた。

しかし、その役者たちをまとめて目的地に舵とりをする人間が必要であった。それが坂本龍馬だったのだろう。もちろん、彼一人だけの功績ではなく、数多くの藩士たちが権力に逆らってまで命がけで動いたことが根底にある。

そして、彼はその功績にもかかわらず大政奉還後の新政府メンバーから自分の名前を除いた。本来ならば参議の中で西郷隆盛以上のポジションについても良いはずであったが、彼はそれを受け入れなかった。

各藩のバランスから言っても土佐の人間として彼が参議に入るのが自然であったが、世界の海援隊をやる、といって固辞した。

このとき、その場にいた陸奥宗光によると、このときの坂本龍馬はあの西郷隆盛よりも2枚も3枚も大人物に見えたそうだ。地位や名誉に対する執着がないところも彼が愛された所以かもしれない。


龍馬の新政府役人表

関白
三条実美

副関白
徳川慶喜

議奏
島津久光、毛利敬親、松平春獄、鍋島閑叟、蜂須賀茂韶、伊達宗城、岩倉具視、正親町三条実愛、東久世通禧

参議
西郷吉之助、小松帯刀、大久保一蔵、木戸準一郎、広沢兵助、後藤象二郎、横井平四朗、長岡良之助、三岡八郎


しかし、彼を英雄にした決定的な出来事は、これだけの大人物であり、維新の功績の残した彼が、新しい時代を見ることなくこの世を去ったことだろう。

龍馬の描く物語は、「世界の海援隊」が描かれることなく終わってしまい、その聞き手の心に空白をつくった。その空白は、多くの人々の心に穴を空け、今なおそれは塞がれていない。

彼以外にも多くの英雄は、若くして、また物語の途中で生涯を終えている。たとえその名前が傷ついたとしても生き続け、物語の続きを見せてほしい。「世界の海援隊」を見せて欲しい。次の時代の英雄たちはそうであってほしい。




参照
竜馬がゆく(文春文庫)




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2010年3月15日
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