「仕事においても人間関係においても独立自尊の精神に徹していた福沢は、主体性を重視していた。人の助言も忠告も要らない。自分からも無理にはしない。「血に交わりて赤くならず」の言葉にも通じる信念だ。」
「人間が師匠を求めたいと思うことは自然なものだと思う。自分を伸ばしてくれる師、高い人格へ作り変えてくれる決定的な師がこの世にいてくれることへの願い。それは、自己を高めたいと考える向上心のある人、真面目な人ほど強いともいえる。」
「これがなくなったら怖い、困るなど、いわば強迫観念めいた気持ちでいると、なくても困らないものでも不安になる。それを守るために汲々としてしまうものだ。」
「とりわけ彼が秀でていたのは時間への意識、期限への意識だ。悠長にしていては間に合わないという切羽詰まったスピード感覚が常に福沢の身体には駆けめぐっていた。
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